飼育員って何をする仕事?

※これからお話する内容は施設や役職によって変わることがあるので参考程度にお考えください。

飼育員の普段の仕事って、何をしているかご存知ですか?

たぶん、動物たちのお世話!という印象が強いと思います。もちろん飼育員の仕事の中に動物たちのお世話は入ってくるのですが、それ以外にもお仕事の種類はたくさんあります。

動物園が好きな方、動物園の飼育員になりたい方、飼育員が普段どんなことをしているのか知りたいですよね!今回、あくまで一例にはなってしまいますが、元 両生爬虫類飼育員である雅が簡単に解説していこうと思います。

はじめに

大体どこの動物園、水族館でも自分の担当動物といって、数種類の動物種ごとに担当が割り振られています。たとえばあなたは魚の中でも海水魚担当ね、あなたはペンギンとペリカン担当ね、というような感じです。それを踏まえて、

1、担当動物の清掃、給餌、病気治療などの管理

2、担当動物の解説

3、一般の来園者、学校の生徒、先生向けプログラムの企画立ち上げ

など…大きく分けて3つに分けられます。

担当動物の清掃、給餌、病気治療などの管理

清掃、とはそのまま掃除のことです。

動物は生きていますから、糞もしますし、餌を食べる時にケージ内(動物たちが暮らす場所)を汚してしまいます。

もし掃除をしないままほっておくと、糞や飲み水が汚染され細菌が繁殖し、動物たちが細菌感染を起こしたりして病気になる恐れがありますので、展示されている動物たち、バックヤードで飼育されている動物たちのケージは定期的に掃除をします。

動物園や水族館に行った際に、一度は飼育員がケージ内もしくは水槽内を掃除しているのを見たことがあるのではないでしょうか。展示動物の飼育場所が汚いと、見てくれるお客さんも良い気分にはなりませんよね。

給餌(きゅうじ)とは、餌を与えることです。

ただ餌をやればいいかと言われれば、それは違います。

動物は人間の言葉を話してくれません。そこで、餌の食いつき具合や食べ方をよくよく観察して、普段と違った食べ方をしていないか、いつも完食する量を食べきれているかなどを確認します。いつもならすぐに食いつくのに、今日は食いつかないな、食べる量が少ないな、なども見ています。

例えですが、普段と違った食べ方をしているのならば口腔内に何かが出来ていて(口内炎など)食べずらそうにしているかもしれないということが考えられますし、いつも完食する量を食べきれていないのならば、体の調子(内臓系か?ストレスか?)が悪いかもしれないということが考えられます。

この餌やりは普段元気なときからしっかり観察していないと、いざという時、異変に気づくことができません、もしくは気付くのが遅れてしまいます。以上のことから、餌やりひとつ取っても、大事な健康チェックになります。

病気治療とは、病気になった動物、ケガをした動物を看病することです。

飼育員の下調べやアイデアによって努力をして自然環境に近いような飼育施設や飼育設備を整えている動物園、水族館でもどうしても病気になってしまう動物、複数個体で飼育していれば仲間と喧嘩をしてケガを負ってしまう動物がいます。

そういった動物は隔離し(単独のケージに移動させること)、病気、ケガの原因を探りながら治療をしていきます。動物園、水族館によって変わってきますが、その施設専属の獣医さんがいらっしゃる場合は獣医さんと飼育員、力を合わせて治療に取り組みます。

動物園施設自体の考え方や、飼育員の負担、獣医さんの判断、病気の進行具合やケガの程度によっては見放されてしまう動物ももしかしたらいるかもしれませんが、わたくし雅自身は、不治の病以外でしたら絶対に動物たちを見捨てたくないと思っています。

担当動物の解説

施設によっては飼育員ではなく、解説員という名の完全に来園者に向けた解説の仕事のみを行う役職のある動物園、水族館も存在しますが、今回は飼育員が行う解説の仕事についてお話します。

皆さんもきっと一度は動物園、水族館で「飼育員の解説」を聞いたことがあると思います。

それはどんな場面だったか、思い出せますか?

きっと多くは、「餌やり」のタイミングだったと思います。

この餌やりの際、ただ餌をやりながら解説をしているわけではなく、先ほども説明したように実は動物の餌の食いつきや食べた量を見て把握しているのはもちろん、幼稚園保育園生から親子、お年寄りまで日々幅広い年齢層のお客さんが見に来てくださるので、その方たちに合った言葉をその場で選んでわかりやすい解説をするように心がけています。

例えば、小学校低学年の子たちに、専門用語や難しい言葉を使って話していてもすぐに飽きられて別の動物に意識が持っていかれてしまいますね。

その場にいる年齢層に合った言葉選びを心がけて、自分の担当動物のこんな行動が見どころだよ!ここが面白いよ!と飽きさせないトークをしながら、魅力を直接伝えるチャンスなのでこの時間は特にしっかりとお話しします。

餌やりの時間は普段動かずじっとしている動物でも少し動いたり、食べている様子を観察して頂けるので、動物にあまり興味がない方でも、この時はしっかり観察、解説を聞いてくださる印象です。

有り難いことに皆さん共感してくれたり、面白かったと言ってくださったり、興味がなかった方の興味を得られたりしますので、飼育員としてすごく大切な仕事の一部だと感じています。

より良い解説をするためには日々、飼育をしっかり行い動物の細かな行動観察、外部からの情報収集も欠かせません。

一般の来園者、学校の生徒、先生向けプログラムの企画立ち上げについて

先ほどお話ししたのは一般の来園者に向けた日常的に行われる解説プログラムについてのお話でしたが、事前応募制の特別プログラム(例えば夜間に行うもの等)だったり、団体で来園される学校向けのプログラム(小動物のふれあい体験等)だったり、学校の先生に向けたプログラム(学校の授業に貢献できるような内容等)だったり、実はいろいろな種類があります。

こういった、一般の来園者に向けて日常的に解説を行っているもの以外にも、事前募集制プログラムだったり学校の団体のプログラムだったり学校の先生に向けたプログラムも、現場で動物を相手にしている飼育員だからこそ、仕事として担当することがあります。

事前募集制の特別プログラムでは、テーマがすでに決められていることが多く(例えば、産気づいたキリンの飼育員は夜間にどんな体制で見守っているのか、生まれた後はどんなことをするのか等)、テーマとなる動物に興味のある方が集まって参加されるので、内容もかなり細かく、専門的に解説することができます。ですので、満足度もうまくいけばかなり高いものになりやすいです。

逆に団体で来園される学校向けのプログラムになると、学年にもよりますが全員が動物に興味、理解、関心があるわけではないので、専門的な解説をすると飽きられてしまいます。どんな学年なのかを事前に知ったうえで、皆さんがわかるように、できれば興味を惹きつけられるような解説をしなければなりません。

最後に学校の先生に向けたプログラムですが、わたしは実際に担当、経験していませんので偉そうなことは言えませんが実際に近くで企画をしている場面を見ましたので軽く解説します。

先生方に向けて、もし希望されるテーマがあるのであればそのテーマについてかなり専門的に、詳しく、かつ子どもたちの授業に還元できるような解説をしなければなりません。個人的にはこれが一番難しいのでは?と感じていますが、これも飼育員の仕事になるので頑張るしかないですね。

学校の先生ですので、根拠なども正確にお伝えしないと先生によっては鋭い質問や突っ込みをされてしまうことがあるかもしれません。もし今後わたしが動物園施設に復帰して、学校の先生に向けてプログラムを行うことになったら、準備期間には文字通り、死に物狂いで勉強すると思います。(笑)

以上、大きく分けて3つ、飼育員の仕事をお話してきました。

たぶん知らなかったこともあるかと思いますが、これはあくまで一例で、これ以外の仕事も請け負っている飼育員もいらっしゃいます。わたしが経験したものですと動物専門学生さんや大学生さんのインターン実習の対応、必要物品や餌の発注、電話対応などです。

この話を聞いた皆さんの中の飼育員のイメージがどう変わったのか気になります…

なかなか飼育員とお話しする機会もないと思いますので(わたしの場合元 飼育員ですが…)気になることがあればコメントでお知らせください。回答できる範囲でお答えします!

それでは、今回はここで終わりにしたいと思います。

最後まで見てくださってありがとうございました!また次の記事でお会いしましょう!

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